当院の過去の
移植あたり臨床妊娠率
(胎嚢確認)

| 年齢 | 胚盤胞 | 初期胚 |
|---|---|---|
| 35歳未満 | 62 | 44 |
| 35〜39歳 | 50 | 31 |
| 40〜42歳 | 32 | 16 |
| 43・44歳 | 17 | 14 |
| 45歳以上 | 4 | 1 |
- 年齢の定義:採卵時の年齢(移植時の年齢ではない)
- 対象期間:2015年12月〜2024年12月
- 妊娠の定義:「胎のう」を超音波検査で確認
2025年10月更新
45歳・体外受精
2015年1月〜7月(2015.10)
2015年1月〜7月の期間で、採卵時45歳の方の妊娠例を数名経験しました。私自身が担当する体外受精の患者さまの中で、新鮮胚移植により4名の方が妊娠され、残念ながら2名は流産となりましたが、2名が卒業されました。体外受精での妊娠例は、注射を併用した低刺激法で採卵したケースが3例、自然周期採卵が1例です。胚盤胞でもなく、凍結胚でもなく、いずれも新鮮分割期胚移植で妊娠されています。高齢だから必ずしも自然周期採卵というわけでもなく、状況に応じて対応します。
45歳以上の方の体外受精・流産について(2015.10)
43歳以上の方の体外受精による妊娠・出産例は激減します。45歳以上ではとても少ないのが現状です。48歳で妊娠・卒業されたケースを実際に1例経験しましたが、極めて稀なケースだと思います。47歳で妊娠された方もいますが、残念ながら流産となりました。45歳以上で流産率が6割を超えます。ぎりぎり対応できるところで貴重な妊娠・出産につながる方もいますが、流産の割合は加齢により増加します。
採卵時の年齢(当院)
当院の採卵時の平均年齢は40〜41歳の間で推移しています。40歳以上の方の割合が多いのが当院の特徴です。(2024年1月)
- 通算の平均年齢:40.6歳
- 40歳以上の方の割合:67%
(対象期間:2016年1月〜2024年1月)
採卵時の平均年齢及び
40歳以上の割合

年齢区分別の採卵総数に占める割合
| 採卵時の平均年齢(当院,2016.1〜2024.12) | |
|---|---|
| 2016年 | 40.6歳 |
| 2017年 | 40.8歳 |
| 2018年 | 40.8歳 |
| 2019年 | 40.9歳 |
| 2020年 | 40.4歳 |
| 2021年 | 40.8歳 |
| 2022年 | 40.2歳 |
| 2023年 | 40.3歳 |
| 2024年 | 39.9歳 |
| 通算 | 40.6歳 |
ARTデータブック(2023年)
(日本産科婦人科学会ART登録施設)

- 2023年ARTデータブック(日本産科婦人科学会)より
出典:https://www.jsog.or.jp/activity/art/2023_JSOG-ART.pdf
生産率(2023年)
2023年の統計より、胚移植あたり生産率を《生産周期数÷胚移植周期数》で求めると次のようになります。
胚移植あたり生産周期数の割合(2023年)
| 30歳 | 34% |
|---|---|
| 35歳 | 29% |
| 38歳 | 22% |
| 40歳 | 16% |
| 43歳 | 6.0% |
| 45歳 | 1.9% |
| 48歳 | 0.2% |
流産率(2023年)
| 30歳 | 約17% |
|---|---|
| 35歳 | 約20% |
| 37歳 | 約25% |
| 39歳 | 約30% |
| 41歳 | 約40% |
| 43歳 | 約50% |
| 45歳 | 約65% |
*流産率は39歳以降、2歳毎に約10%ずつ増加しています
流産と染色体異常
ヒトは他の動物より妊娠しずらい動物です。ヒト胚の染色体異常率が高いからです。ヒト胚の染色体異常率は、加齢に伴い高くなります。流産率は39歳以降、2歳毎に約10%ずつ増加しています。
初期胚移植か胚盤胞移植か
移植あたり妊娠率
期間:2016年1月〜2018年8月
- 当院の初期胚移植あたりの妊娠率は、胚盤胞移植あたりの妊娠率と比べると全年齢で約6割の値でした。この値は低いのでしょうか?
- 当院の過去の妊娠率(2016年〜18年8月)を用いて、妊娠数を年代別に簡単に計算すると下のようになります。
- なお、胚盤胞到達率は年齢・個人により異なります。胚盤胞に到達したとして、移植できるレベルの胚盤胞とは限りません。これはあくまで机上の計算です。

- 年齢の定義:採卵時の年齢(移植時の年齢ではない)
- 期間:2016.1-2018.8
- 妊娠の定義:「胎のう」を超音波検査で確認
- 胚盤胞のグレード不良胚(3CC、4CC)や7日目胚盤胞も含む
追加)胚盤胞移植あたり妊娠率
(2016年1月〜2019年12月)

- 年齢の定義:採卵時の年齢(移植時の年齢ではない)
- 期間:2016.1-2019.12
- 妊娠の定義:「胎のう」を超音波検査で確認
- 胚盤胞のグレード不良胚(3CC、4CC)や7日目胚盤胞も含む
各年代においての
妊娠数の比較
30代前半
胚盤胞到達率60%と仮定(Case.1)
- 初期胚100個を移植して、妊娠数は42例
- 初期胚100個を長期培養して、胚盤胞到達が60個、この胚盤胞がすべて移植できる胚盤胞だと仮定しても、妊娠数は41.4例
- 【結論】胚盤胞到達率が60%前後だと、妊娠数は、初期胚移植と胚盤胞移植を比べてほぼ等しいかもしれない
40歳前後
胚盤胞到達率40〜60%と仮定(Case.2)
- 初期胚100個を移植して、妊娠数は16例
- 初期胚100個を長期培養して、胚盤胞到達が40〜60個、この胚盤胞がすべて移植できるレベルの胚盤胞だと仮定しても、妊娠数は11.2〜16.8例
- 【結論】胚盤胞到達率が50%以下だと、初期胚移植の方が妊娠数は多い。胚盤胞到達率が60%以上だと、胚盤胞移植の方が妊娠数は多い
43歳以上
胚盤胞到達率20%と仮定(Case.3)
- 初期胚100個を移植して、妊娠数は3例
- 初期胚100個を長期培養して、胚盤胞到達が20個、この胚盤胞がすべて移植できるレベルの胚盤胞だと仮定しても、妊娠数は2.8例
- 【結論】胚盤胞到達率が20%前後だと、妊娠数は、初期胚移植と胚盤胞移植を比べてほぼ等しいかもしれない

