FSH値が高くても-33
卵胞数は少ない 変性卵 着床の窓のズレ
43歳の方。38歳から体外受精を開始され、初期胚移植は1回、胚盤胞移植は5回以上(採卵回数は不明)。最後に胚盤胞ができたのは41歳。それから1年が経過したところで、当院へ転院されて来られました。転院前の一年間、FSHは20台で推移し、初回の採卵周期もFSHは20台前半と卵巣機能が低下した状態。自然の経過で卵胞発育は一つ、残念ながら変性卵でした。落胆失望を乗り越えて、前進。月経周期を整えて翌周期へ。月経3日目、胞状卵胞は2個と少なく、FSHは20台前半。ふたつの卵胞がゆっくり育ち、月経17日目の採卵。今回は成熟卵2個が採れ、幸い、胚盤胞を1個凍結できました。さらに翌周期、胞状卵胞は2個と少ないのですが、FSHは10台後半とすこし大人しめの値。お薬をすこし使用して、ふたつの卵胞が発育。月経14日目の採卵で成熟卵2個が採れました。胚盤胞を2個凍結。さらに翌周期、FSHは30台後半に跳ね上がる。自然周期で様子をみると卵胞がひとつ育ち採卵へ。無事に成熟卵1個が採れ、幸いなことに今回も胚盤胞を1個凍結できました。その後もFSHは10台後半から30台を揺れ動き、30台が続くこともあり、厳しい状況でしたが、その後の周期でさらに数個の胚盤胞が凍結できました。ビタミンDサプリ摂取を続けて正常値となり、「着床の窓のズレ」を補正して5日目胚盤胞を移植すると妊娠されました。無事に卒業されました。卒業時は44歳でした。安堵しました。(2021年2月)
胚盤胞のグレードが低くても 卵胞数は少ない 遺残卵胞をくり返す
30代後半の方。AMHは0.80。他院で採卵7回(高刺激法4回、低刺激法3回)、移植3回を経ての転院。卵胞数が少なく、かつ胚発育が不良で移植に至らないという経過。月経周期は25日と短く、初診時(月経13日目)、排卵済みでした。翌周期は遺残卵胞があり、同様に月経13日目に排卵済みでした。くり返す遺残卵胞は、大きな悩みのタネ。遺残卵胞を消してから初回の採卵へ。低刺激法で採れた成熟卵は3個。これまで、胚盤胞を凍結保存できたのは1回のみでしたが、その中から胚盤胞(6日目)が1個凍結できました。自然排卵周期で胚盤胞移植を行いましたが、判定日のhCG値は低く、残念な結果となりました。周期を整えてから二回目の採卵へ。月経3日目、卵胞は右卵巣に5ミリ、5ミリ、3ミリの3個のみ、左卵巣には見えません。卵胞数が少ないので自然周期で経過をみました。ほぼ同じ大きさの卵胞が二つ育ち、自然周期の採卵へ。成熟卵が2個採れました。ひとつが5日目胚盤胞(3CC)に育ちました。銅が高く、亜鉛が低い(58)のため、亜鉛サプリを摂取していただきました。自然排卵周期で再び移植に臨むと、胚盤胞のグレードは低いのですが、妊娠されました。そして、無事に卒業されました。ゴールにたどり着く道を探して、ようやく、偶然ですが、たどり着きました。卵子も老化しますが、精子も老化するので、年々、妊娠のハードルは着実に高くなります。妊活開始から5年が経ち、何とか飛び越えました。(2020年9月)
